Searching For Michael Peterson
Searching For Michael Peterson タイトル:サーチン・フォー・マイケル・ピーターソン 監督:ジョリオン・ホフ 音楽:アンドリュー・キッドマン 時間:55分 プラス特典映像 紙ジャケット 本編日本語字幕 小冊子付き ¥4,900(消費税込み) 天才サーファーの劇的な人生を知れ! スピードを武器に攻撃的に波と調和するスタイルでプロコンテストの頂点を極め、サーフィンを次なるステップに引き上げた。だがヒーローは時代の悪癖ヘロインにより瞬く間に没落した。なぜMP伝説が語り継がれるのか?答えはフィルムを観れば分る。 日本では未だ馴染みの浅いマイケル・ピーターソン(MP)は70年代オーストラリアで開催された全てのメジャーコンテストを制し、74年ハワイ・パイプラインのバックドアを打ち破りサーフィンを次のレベルへ高めた知るべきサーファーである。だが頂点を極めるとドラッグが原因で没落した。最後はポリスとのカーチェイスの末に逮捕され医療精神施設に送られ長期間の電気治療で人格が破壊された。ならば、なぜ今あえてMPなのか?最盛期を迎える直前のMPを「モーニングオブジアース」でフューチャーしたアルビー・ファルゾンは「MPのサーフィンはアート」と定義した。32年後アンドリュー・キッドマンはそのオリジナル映像を「グラスラブ」で使用して「MPのサーフィンと人生の関係」にスポットを当てた。メルボルンのドキュメンタリー監督ジョリオン・ホフは2004年アンドリューのコンセプトの元、MPのドキュメンタリーの制作を開始、これが本作である。時同じくしてオーストラリア最大の発行部数を誇るサーフィン誌トラックス編集長ショーン・ドハディーは現在の本人とMPに縁のある当時の著名サーファーへの取材も含めてMPの伝記をオーストラリアで出版してベストセラーになる。なぜMPなのか?しかも21世紀の今?理由はMPこそ世代を飛び越えヒーロー視されているからだ。サーフィンの持つ不良性的魅力であろう。だがテリー・フィッツジェラルドは「なぜ今さらMPがフューチャーされるのか?MPは最高の友人だった。だがドラッグにやられ、それは多くの若いサーファーに悪い影響を与えた。なぜ今更脚光を浴びるか不愉快だ。」と苦言する。だがテリーの苦言とは裏腹にMPが後世に与える影響は強まるばかりだ。ときに物事には表舞台よりダークサイドの方が興味深い場合もありビッグネームの没落は格好の話題になる。 真実は小説よりも奇なり、マイケル・ピーターソの人生はスキャンダラスなドラマそのものと捉えられている。だが本質は全く異なる。全てはMPのサーフィンにあり陸上での行動は無関係である。ショートボード第一次革命期に当たる60年代後期、ナット・ヤングはフルスピードでの急激な方向転換に成功してサーフィンを次のステップに引き上げた。そのナット本人が公言するようにMPはスピード&マニューバーの後継者であるばかりでなく次の次元にまで導いたのだ。急角度に上り垂直に落下しながらチューブの中に入り誰よりの長く居続けメイクする。MPのスタイルは時代を超越してトム・カレンやケリー・スレーター、ミック・ファニングといった後世のワールドチャンプにも強い影響を与えている。 映画は1973年ベルズでのコンテストから始まるがウェイン・リンチ、テリー・フィッツジェラルド、マーク・リチャードを破り優勝。その後3年間ベルズを制し続けた。さらに多くのサーフフィルムで語り継がれるキラでのチューブライディング、前代未聞であった74年のパイプライン・バックドアへのアタック、伝説の77年バレーでのスタビーズでのサイドスリップからのチューブイン等数々の名シーンが収められている。また同期同郷の親友である2人のワールドチャンプのピート・タウンネントとラビット・バーソローミュー、ナット・ヤング、アルビー・ファルゾン、マーク・リチャード、ウェイン・リンチ等が当時を回想してMPこそ最高のサーファーと賛辞する。一方、弟トミー・ピーターソンは貧しかった子供時代、サーフジャーナリストのフィル・ジャレットはMPとドラッグの悪質な関係、ダークサイドを語る。 MPは自分でシェープした奇妙なボードで今以て超えられないラインを走った。キラ、バーレー、バックドアと人目を避けるかのようにチューブの奥深くに消え出てくる。フルスピードのラウンドハウスカットバックやリッピング、急激なストールは全てディープなチューブに包まれるため手段である。ラストを飾るバックサイドのレイドバックは涙モノだ。また当時のライフスタイルも鮮明に映し出しているが、ネオフラワージェネレーションは実にワイルドだった。 オリジナルサウンドトラックはブラウンバーズ・フロム・ア・ウィンディーヒルの2枚目のアルバムで「ニール・ヤングとクレージーホースがサーファーだったら」の如くにロックする。バンドはバイロンベイでアンドリュー・キッドマンを中心にニール・パーチェス・ジュニア等で結成された。また72年作品「モーニングオブジアース」でギターを弾くティム・ゲイズも参加。燻し銀のギターワークが最高にカッコいい。
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